小沢健二さん所有の1993年製Gibson J-200を紹介
平成を代表する名盤である「LIFE」のリリース30周年を記念して、2024年8月31日に日本武道館でLIFE再現ライブがおこなわれました。この公演に先立ってSNSでは、小沢健二さん自身が当時の思い出を振り返りながら愛用するギターについてのエピソードを紹介するなど、ファンにとってたまらないひとときとなりました。
多くのギターが紹介されましたが、まだ紹介されていないギターがあるのはご存知でしょうか?この記事では、小沢健二さんの愛用するGibson J-200について詳しくご紹介します。
小沢健二さん愛用のGibson J-200
小沢健二さんのGibson J-200には以下の特徴があります。
- 全面がパールで装飾されたヘッドトップ
- パールのピックガード
- ゴールドのロゴ
- ゴールドのハードウェア、トラスロッドカバー
- ヘッド裏に取り付けられた真鍮製のプレート
- スティンガーと呼ばれるヘッド裏の塗装
これらの特徴から、1993年製Gibson Custom Shop International Collection Series J-200だと思われます。
Gibson J-200とは
Gibson J-200は「キング・オブ・フラットトップ」とも呼ばれるギターで、1937年に初めて登場しました。豊富なラインナップを誇るGibsonのアコースティックギターの中でも最上位モデルとして今なお君臨しています。スーパージャンボ・ボディならではの豊潤なサウンドと豪華な見た目は多くの著名なミュージシャンに愛されています。
International Collection Seriesとは
International Collection Seriesとは、Gibsonが1990年代前半に製作していた限定モデルです(1993年、1994年、1995年製のモデルを確認済み)。定番のモデルを元に、様々な豪華な仕様で各30本あるいは36本という限られた本数が製作されました。小沢健二さんのJ-200のようにパールの装飾をフィーチャーした仕様もその内のひとつになります。
当時のGibsonは1987年にアメリカ モンタナ州のボーズマンにあるフラットアイアン社(マンドリンを中心に製造するメーカー)を買収し、1989年にアコースティックギターの生産拠点を当地に移すことになります。この際、元フラットアイアン社のルシアーがGibsonのアコースティックギターの製造に関わるようになったことが影響し、Gibsonのアコースティックギターは新たな黄金期に入っていきます。
中でも、のちにマスタールシアーとなるレン・ファーガソンが製作に関わるようになったことで、そのクオリティの高さがさらに評価されるようになりました。
レン・ファーガソンとは
レンファーガソン氏はアメリカの有名なギタールシアーであり、さまざまなギターメーカーで重要な役割を果たしました。とくに伝統を継承しつつも華やかで斬新なデザインのインレイワークを得意としています。
もともとフラットアイアン社でルシアーとして勤務していましたが、Gibsonによる買収にともない同社に入社することになります。そしてGibson Acousticsの副社長・生産マネージャー・マスタールシアーなどの要職に就きます。
Gibsonに25年勤務したあとはGuildのアコースティック部門で働き、現在は自分のギター工房で自身の理想とするギター製作をおこなっています。
カタログをみると一番安価なモデルでも1万ドル(約150万~)からなので、かなりハイエンドですね。オーダーによる一点モノなので価格は高いですが、氏の得意とするインレイワークが随所に施されており、その美しさには圧倒されます。
小沢健二さんとGibson J-200
Gibson J-200が実際の演奏で使われた場面を紹介します。
ニュースステーション(1995年11月24日放送)
生放送で「さよならなんて云えないよ」を演奏した際に機材トラブル(キーボーディストの中西康晴さんのウーリッツァーが故障)が起きて放送事故になってしまったことで有名な回ですが、このとき小沢健二さんが弾いているギターがJ-200です。
キツネを追ってゆくんだよ(2020年11月24日配信)
こちらは朗読の映像作品で、DVD化もされています。本編の最後にギター弾き語り映像があります。
マイクロ魔法的・ミッドナイト(2021年12月24日配信)
こちらはクリスマス・イヴの真夜中に下河辺牧場でおこなわれた配信ライブです。薄暗い牧場の庭で照明に照らされたブロンドのJ-200が非常に印象的でした。
現在の中古相場
1993年製Gibson Custom Shop International Collection Series J-200ですが、入手困難なものの、海外サイトに極稀に出品されています。
今まさに出品されていますが、通常価格600万円のところ50%OFFの300万円で販売されているような状態です。流通量が少ないため、相場が定まっていないようです。興味があるかたはぜひ手に入れてみてください…!
こちらは売り切れですが、数年前は60万円程度だったようです。最近は楽器価格が高騰しているので、相場を読むのがかなり難しいですね。
参考までに、同年代のレン・ファーガソンが関わったカスタムラインのGibsonアコースティックギターが100万円前後の価格帯で取引されています。魅力的なギターが多いので、個性的なギターが欲しい方はこちらも合わせて調べてみるといいと思います。
まとめ
小沢健二さんの愛用する1993年製Gibson Custom Shop International Collection Series J-200の紹介でした。気になっている方も多かったのではないでしょうか?
レン・ファーガソン氏が製作に関わる1990年代前半のGibsonのアコースティックギターは非常に評価が高いため、ご自身のギターを探す際にぜひ検討してみてください。